白兎を追いかけて | ナノ


天性の才能と言うべきか、ウチは大して運動もせえへんのに運動神経は超超抜群だ。


ついたあだ名は“スーパー少女

そのせいで入学式からずーっとこれ。


終礼が終わったらダッシュダッシュ!
廊下に出ると、まずはバスケ部が待ち構えている。

あの巧みにしつこい動きで迫ってくるんやけどスルースルー。


そん後は陸上部との短距離戦。
せやからウチは窓からとか平気で降りるようになってしもた。


よっしゃ陸上部突き離したで!なーんて安心するのも束の間、次は剣道部が竹刀を持って廊下に立ちふさがっている。


勢いよく振られた竹刀をハードルのように飛び越えてー…。


…というようにまさしく毎日が勧誘の嵐。

バレーにバスケ、陸上テニス卓球弓道剣道水泳etc…。


断り続けて一年弱。
そろそろ諦めようか一年弱。


(ほんま飽きひんよな)

その執拗さは感服できるものだけど、部長副部長が出てくるってのはいかがなものかと考える。


最近じゃ試合だけでいいから出てくれって要望も多い。


気が向いたら出る。…というか、土下座して泣かれたら出るしかないやろ。


ほんまは早よどこかに所属して、こんな中途半端なお助けマンも、放課後の追い掛けごっこも辞めなあかんけど……。


どの部活に入る気もないもんなぁ…。

早よ鬼さん部活戻りやー。なんて考えつつも探している声は遠くならない。

見つかるわけあらへんやろ。


ウチは一応小柄な体つきで、壁と木の間に身を潜めるようにしてしゃがみこんでるんだから。


きゅっと身を縮めれば、積もった雪にローファーが少し埋もれた。
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