目が覚めて、一瞬考えた。夢やったらどうしよう、って。
せやけどそんな心配はいらへんかった。となりには愛しい彼、確かな温もり。
「柚、おはよう」
「蔵……っ」
笑顔が優しすぎて、この上ない安心感を覚えた。
夢やない、夢やないんや。蔵は、ここにいる。ここにいて、笑いかけてくれとる。
「なぁ、柚」
何て素敵な目覚めなんやろう。ちょっと下半身が痛い気もするけど、せやけど、今はこの幸せを全身で噛みしめたい。
「もう一回ヤらへん?」
「………。」
二人の目覚めはホンマに
「蔵のド変態―――――――っ!!!」
騒々しかった。
「せやかて気持ちよかったんや。柚は可愛くてしゃあないし…(ぽっ)」
いや、ぽっやないし。なんやねんどこのKYHや(空気読めない変態)さっきまでのウチのときめき返せ!!
「…せえへん。あんなにしたんやからええやん」
「二回しかしてへんで」
「二回もしたやんか!」
「足りん」
「あーもう、蔵はやっぱりこれや!」
もぞもぞと身体をまさぐる彼に抵抗していると何だか只のじゃれあいになっていた。
お互い中途半端にしか服も来てへんくて、この光景をご家族様に見られたら絶命決定である。白石家の女性ズは帰ってきとるんちゃうか、とか普通はする筈の心配も忘れていた。
やって、幸せやったから。
「柚、おかえり」
指を一本一本絡めて、もう絶対に絶対に離さないと誓う。温かい声が囁かれると共にコツンと額が合わさった。
この確かな温もりが、ウチの幸せ。
帰って来れたという証。
「ただいま、蔵」
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