「や、あっ、」
「っ、はぁ」
二人の吐息が混じり合う。
蔵の与える快感と熱で、ただ喘ぐことしかできないこの状態はいつかのあの日によく似ている。
もっと、もっと、あの日以上に、今以上に貴方を感じたい。もっと蔵を、近くに。
「もう、ええ?」
上半身に何も纏っていない彼の姿は火照った身体を更に欲情的にさせる。胸を伝う汗が、ウチの胸元に流れ落ちた。
「う、ん」
怖いという気持ちはどこかに消え去った。だってここに、蔵がいる。蔵を失うという悲しみを経験した今、あれ以上の恐怖なんて他にない。
「柚、柚…っ」
「蔵っ、ッ、あ!」
痛い。痛い、けれど。
「余裕なくて、…ごめんな」
こんな幸せ、他にない。
「かっこ悪くて、ごめんな」
ねぇ、蔵。
今、一つになっとるんやで。
やっと、一つになれた。
「好きや、柚…好きや…」
涙を流す彼を見て、純粋に、綺麗やと思った。
なぁ、蔵。世界一かっこええよ。世界一大好き。不安にさせてごめん。悲しませてごめん。中途半端な行動してごめん。蔵、泣かないで。
下半身の痛みよりも、胸の痛みの方が大きくて、思いが伝わって、ウチまで涙が零れた。
「蔵、大好き」
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