四天宝寺中に入学して、一年弱が過ぎた。
花風柚、14歳。
雪はしんしんと降り続いて、白い絨毯のように積もりに積もっている。
そんな中!
なーんでウチはこんな所に一人寂しくいるんでしょうか。
ひゅるるるる〜。
「へっくしゅん!」
あぁ、冬の風ってこんな厳しかったっけ?
(北風までもウチの敵なんか!)
…というのも、只今たくさんの部活動生に追われているのです。
「花風さんどこに行ったんやろー?」
「ここらへんで見失ったんやから近くにおる筈やろ」
(おー、怖い怖い)
あれは確かバスケ部副部長とバレー部平隊員の声。
「あーくっそ、どこや。もうすぐ大会近いっちゅーのに…」
次に聞こえるのは陸上部部長。
(…命が刈られる五秒前っちゅーやつですな。)
ある雪の日の逃避行
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