白兎を追いかけて | ナノ




「わたしはそないに思わんけどな」

優衣はボソリと呟いてボウルの中の材料をくーるくーると混ぜている。


「慰め?」

「ちゃうわ」

「根拠は?」

「…ないわ」


「「………。」」


「やっぱ慰めやないの!」

「せやからちゃうて言いよるやん!」



「…じゃあ何なん?」

「勘、や」


…………。


「…優衣ちゃん、中途半端な優しさは相手を傷つけるだけなんやで」

「なんで信用せんの!女の勘は99%当たっとるんや!」


「ウチはその反対って勘が言いよるわ!」
「柚は女っちゅーか人間やないやん!もっと人類誕生の発端となる生物みたいなー…」


「し、失礼やなー!バリバリ恋する乙女やっちゅーにん!」


ウチが泡立て器を振り回せば、生クリームが宙を飛び、優衣にクリーンヒット。


「なにすんの!汚れたやない!」


べちゃり。

ウチの頬にカスタードクリームが汚くヒット。

「ちょっと彼氏いてるからって調子に乗んなやーっ。この小悪魔サド女ー!」


びちゃ。

「そんな設定今言うても読者は納得せんわー!」


べちゃ。


「くらえー!黄泉送り柚特製クリーム弾!」

「なんやのこれ!なんで生クリームがしょっぱいん!?不味いわー!」


「ぎゃー!」

「わーー!」





「なぁ白石、あれ…なん?」


「思春期の雪合戦やろ。目合わせたらあかんで、謙也」
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