白兎を追いかけて | ナノ




今柚の様子がおかしいのは、財前が関係あるていうん?

さっき財前と二人で喋っていたことが関係してるん?



「ひ、光くんは…、」

「…おん」


なぁ柚、答えてや。


震える手をしっかりと捕まえてか細い指を一本一本絡ませる。恋人繋ぎは、彼氏の特権やもんな。


なぁ、柚………。





「光くんは……関係ない」


瞳が、揺れていた。

曇りきった柚の表情を見て、それが嘘なんやということは一目瞭然。

せやから、胸が痛んだ。


財前がどんな形であれ、柚の心の中に入っている。それだけで苛立ちが募る。

そして今、柚が哀しんでいるのにどうすることも出来へん。



「……さよか」



なぁ柚、俺はどないすればいい?

俺は彼氏やろ?
なして話してくれんの?
なして隠そうとするん?


辛くてしゃあなかったけれど柚は俺以上に辛いんや思うたら無理矢理聞くことは出来んかった。


せやから今は、柚の嘘に騙されたる。
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