白兎を追いかけて | ナノ



部員の怪我の措置だってマネージャーの仕事。
ウチは簡単なことしかできないけどな。



「ほいっ、出来上がり」

「ぅぉ、痛くないっすわ」


手首をブンブンと動かす光くんの顔は、滅多に笑わないのに嬉しそうだった。


「多分、腫れ方からして軽い腱鞘炎だと思うで。悪化したら1ヶ月ぐらいラケット握れなくなっちゃうから、今日は部活ないし病院行きぃや」


「まじですか、はーい」

「腱鞘炎が起きるのはラケットの振りが、手首に負担かけとるか準備体操を怠っとるからで――…、って光くん聞いとる?」


「聞いてますわ」

「嘘や、ボーっとしよるやん」

「いや、柚先輩ってやっぱりすげぇわって思ってたんです」


「…ウチはほら、スーパー少女やから」

「なに言うてるんですか。明らかに努力の賜物ですって」


ニッコリと笑って見せた光くんに、思わずドキリとした。


普段全然笑わんくせに―…、


(……笑った)


なんや、やっばり光くんは可愛い後輩やん。
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