白兎を追いかけて | ナノ




蔵と甘い情事をしていた最中、茂みから現れたのは光くん。

一瞬、ウチらの動きが止まった。状況があまりにも一変して、いまいち頭がついていかないのだ。


蔵は素早くパーカーを掛けてウチの体を隠す。そしてそのまま抱き締められた。

焦る蔵はいつの間にか怒った表情に変わっていて。光くんは冷めていた。

この事態をやっとウチが理解したときには、今更だけどとんでもない羞恥に襲われた。


…見られてもうた、光くんに。


恥ずかしくって、怖くって、どうしたらいいのか分からない。蔵にただ促されるように体を預け、抱き締められた。


「ええとこ邪魔するやなんて、ええ趣味しとるなぁ財前」

「こないなとこで盛っとる先輩らに言われたないですわ」


棘のある会話がぎこちない。


「空気読んでくれへんかなぁ…ほんま」

「…こちらとは監督に言われてものっそい探し回ってたんですけど。やっと見つけた思うたら盛ってはるし」

「そら堪忍」


低い。蔵の声が低い……。不機嫌度MAXやんか。


「あぁ、白石部長」

「なんや」

「先に謝っときますわ、すんません」

「は?先ってなんやねん。おまえはもうやらかしとるわ」

「これから先やらかすて言うてるんです」

「な、なに言うて、」

「ほな、先帰っとりますから」

「おい財前!」



蔵と光くんの間に火花が走るのが見えたような…。

えっと……なにが起きてんの?





流れ星と3つの願い
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