白兎を追いかけて | ナノ




こばるとぶるぅーにキャッキャッと一人はしゃいでいると、さっきまで光くんと話していたはずの蔵が隣にいた。

ああそっか。今日はウチの隣におるって約束してくれたもんね。


「柚、なんして遊びたい?」

「えっ!ウチのしたいこと聞いてくれるん?」

「当たり前や。今までもそうやったろ?」

「ほんなら溺れながらどや顔でエクスタシーて言って!」

「………。」

「ごめん。嘘。いや、まじ忘れて」

「さすがにそれは謙也のポジションや」

「いや、分かってんねん。ほんの少しの好奇心っちゅーか…」


ってかあれ?ウチらの謙也の扱いってほんまにひどくない?

少し遠くに目を向けると、謙也は小さな男の子に砂風呂の山のように埋められていた。熱い!熱い!と叫ぶ残念なヘタレ。

うん…ウチらだけやないな。謙也は全国共通にヘタレなんや。



「ねぇ、蔵」

「ん?」

「ウチ、深いところ行きたい」

ウチ一人じゃ行けない場所へ。


「足つかへんで?危ないわ」

「せやから、蔵が」


蔵が連れて行って。
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