白兎を追いかけて | ナノ







「あかん…もうみんなと顔合わせられへん。ドリンク作っても受け取ってくれなさそう」

「被害妄想ひどいな自分」

とりあえず腹癒せに謙也に海水をじゃばじゃばかけてやった。

目に塩水はいったー!めっちゃ染みるねんけどー!なんて叫ぶ謙也は無駄なイケメンである。無駄にイケメンやないよ。無駄なイケメンや。


「…にしても水着えらい似合うとるやないの」

「へへっそう?優衣に選んでもろた」

「似合うとるでー」

「可愛い?」

「おんー可愛いかわ、ぶはっ


気づけばウチの隣にいた蔵に、謙也はこれでもかってほど多量な水をひっかけられていた。…そらもうざばざばと。


「なにすんねん白石!窒息死するとこやったわ!」

あぁ、うん、謙也やしそないなダサい死に方でええんちゃう?

「俺より先に柚に水着姿を褒めた罰や」

「なんやねんそれ!なんで早よ言わんっちゅー話や」

「二人っきりでええムードのときにそれ言って色々シたいんねん」

「「この変態!」」


ひらがながカタカナになってるで!発音しっかりせな!表記しっかりせな!



テニス部のみんなでバレーをやったり、泳いだりはしゃいだり。
謙也は何故か海面を走っているし、いなくなった金ちゃんは「サメと泳ぐの勝負してきたで!」なんて言いながら帰ってくるし。

海の家のアルバイト生を小春ちゃんはロックオンしてユウジはひたすら怒ってるし。
みんなでわいわいしながら食べるお好み焼きは一段とおいしかった。


ほんまに、ウチの大好きなテニス部や。

蔵はずっと隣におってくれて、ずっと笑っていてくれて。ウチの身勝手なお願いを、快く叶えてくれる蔵が、大好きだ。





こんな楽しい日々がずっと続いていけばいいのにと、心から願った。


そして、続いていくのだと漠然と思っていた。
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