……物足りん。
やっぱせっかくやしー…、
「柚、激しいキスが欲しい」
「な…に言うてん、無理や」
「なして?ええやろ?」
「やってウチ、蔵みたいにディープキス上手ない」
「下手でええんや」
「で……でも、」
「柚の下手なキスが欲しいねん」
「あ……う、」
顔を真っ赤にして恥じらう姿。
めっちゃ煽るねんけど。
本人無自覚なんやろうな、多分。
「ほんなら蔵、目瞑って」
「おん」
「あ…待って。どない風にキスしたらええんか分からん」
「俺がいつもしてるようにしたらええんや」
頑張る、と呟く柚の手のひらは震えていた。
怖いん?…大丈夫やで。
ええからキスしてや。
どないなキスでも甘く受け止めたるから。
唇に、先ほどと同じく柔らかい感触。
俺の口内へと柚の舌が侵入するのは初めてで、彼女にしては大胆な行為に欲情が止まらないのを察知した。
舌を絡め取って、逃がさない。
いつもキスを受け入れてくれるだけの柚が今こうして、俺を求めてくれている。
苦しそうな息をしているけれど、離せへん。離したない。
「苦し……っ、く、ら…」
「…堪忍」
こんなに可愛いおまえを、離せるわけがないやろう。
体の力が抜けきっている柚は、全身を俺に預けるばかり。
ほんま…あかんわ。
柚のこの顔は俺を煽る一番の原因。
いろいろ…ヤりたなるわ。
(……って我慢や。なに考えてんねん俺)
- 191 -
← | →