未だに頬擦りしてるし。
めっちゃ可愛いなぁ、猫やんか。
「なぁ柚、俺のこと好き?」
「好きーっ、好き好き大しゅき。世界で一番大好きー」
うっわ。
今、大しゅきって、大しゅきって言うた……!
可愛すぎや。俺を殺す気か!
文化祭の告白以来の熱烈さに心臓を射抜かれた。
「蔵は?ウチのこと好き?」
「好きやで。大好き」
「ほんま?嬉しーっ、蔵ノ介好きーっ」
首の後ろへ腕を回されさっきよりも密着した形で抱きつかれた。
うわー、こんな所で発情してまうわ。
「柚がキスしてくれたら、俺もっと柚のこと好きになるで」
「っ、ほんま?」
「嘘は言わんで」
「でもウチ、恥ずかしい…」
やっぱ恥ずかしいからキスしてくれんかったんやな。
「これは夢やろ?夢なんやから、大丈夫やて」
「せやっ。これ、夢やんな」
「そうや。やからどないに恥ずかしいことしても大丈夫っちゅーこと」
「ん。…分かった」
戸惑いながらもコクリと頷く。
そんな柚を確認すると、心の中で大きなガッツポーズをした。
上目遣いのまま、顔を近付ける愛しい女の子。
「目ぇ瞑らなあかんで」
「…うん」
早よ、早よ。
早よキスして欲しい。
距離が縮まって行くのがあまりにもゆっくりで、ただもどかしい。
早よ、柚のキスが欲しい。俺をたくさん焦らして降ってきた唇。
今まで何度もキスをして来たはずなのに、今回は違う感覚だった。
柔らかくて、温かい、純粋なキス。
柚にキスをされているという事実が嬉しくて、ひたすらその喜びに浸っていた。
…それも束の間、夢心地もたった一瞬。
柚の唇は数秒で離れてしまったのだ。
- 190 -
← | →