白兎を追いかけて | ナノ







結局、ウチの寝言に蔵は触れないまま、放課後になった。

今日は生憎の雨のため筋トレで部活は終了。

オサムちゃんも「今日のうお座は金運星5つの勝負事吉やー!」なんて叫んでたからきっとパチンコにでも行ったんやろう。

同じうお座の謙也がお金を排水口に落としてしもた言うてたから多分その占い当たらんで、オサムちゃん。






――…そしてウチは図書室で暇を潰していた。

蔵が保健委員の仕事をしているのでそれを待つため。

それと理由はもう一つ。



「えーっとなになに?夢について、その一」


なんで授業中にあないな夢を見てしまったんだろうと思い、調べにやってきたのです。ウチって偉い!


「寝ながら見る夢では、その人の普段は抑圧されて意識していない願望などが如実に現れるケースも多いとされる」


は?願望?

あれが、ウチの?


(いや、まさか……)


そんなん有り得へん。

ウチは自分に言い聞かせた後、気を取り直して次のページをめくった。


“また、普段の生活から興味がある現象について夢を見やすいといわれている”


「…………。」


…パタン。


静かに本を閉めて、何事もなかったかのように本棚に返した。


え?ちょ……、嘘だ。

嘘じゃないと困るんやけど。


蔵と触れ合っていたいと常日頃から思っていることは認めよう。…三歩ぐらい譲って。


だけど、蔵とエッチをしたいだなんて、思ってない筈。

そう。今は…、まだ。


だけど、ウチは蔵に求められることが大好きで。

もし、もしも。
蔵に体を求められたら?


ウチは………――。




「………。」



ふと、睡魔に気付いた。

なんだか眠いなぁ。

不思議。授業中も寝たはずなのに……。


「…ふわぁ」


夢でまた、蔵に会えるかも。

そう思うと数秒後には眠りに落ちていた。


(もし、夢で蔵に会えたなら…………、)
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