白兎を追いかけて | ナノ




蔵の、熱い唇が。

額に、瞼に、頬に、口に。


触れた部分がとても熱い。

いつもの優しい蔵のキス。

「ねぇ、くすぐったい」

蔵の頭に触れると、指と指の隙間から薄茶色の髪が通った。

「めっちゃ好き」

当の本人はそれだけ呟いて、行為を続行している。

これからもずっとずっと、大好き。

そう心で唱えた途端、自分のブラウスのボタンが一つ一つ外されていることに気付いた。


「!?ちょ、…蔵?」

「ええやろ?なぁ、柚」


ええやろって、ちょっ…、なにをする気なん!?


「あの…蔵ノ介さん?」

この前、ウチの心の準備が出来るまで待っとくって……。

「俺…もう、我慢できんへん」

「え゛。…や、ウチはまだ…」


自分の唇を舐める妖美な仕草に、ウチはごくりと喉を鳴らしてしまった。


「優しするから、…な?」


蔵の手が下着に掛けられる。


え…っ、ちょ、ちょっ…!



「蔵のスケベ――!」


ダン!と、机を叩く。

……え、机?


おそるおそる顔をあげると、ウチの視界に入るのはチョークを持つ先生が唖然としていて。

あぁ、夢だったんだ、と気付くのにそう時間はかからなかった。


5秒後、教室内にて大笑いが起きることになり。
ウチは今までにないほど顔を赤くする羽目になる。




ぼくの世界の支配者
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