白兎を追いかけて | ナノ





「別にな、財前と仲良くすんなってわけやないんや」

顔やって近いし、吐息だって、あたる距離で。


「でもやっぱ嫉妬してしまうねん」

今にも唇と唇が引っ付いてしまいそうで……。


「昼辺りから柚、なんか冷たいし」

蔵とのキスやハグの延長線にはその例の行為があるて思うと……、今まで以上に恥ずかしい。


「聞いてんの?柚」

「えっ?あ、あ…っ、うん」

「ならなんで俺の顔見ようとせんの」

「それ…、は」


ちらりと蔵の顔を見ると、真剣な眼差しにくらりときた。

蔵だけにくらり、うっわ寒いわウチ。



「財前になに耳打ちされたん?」

「今日も可愛いねって、…てへ」

「嘘は通じらんで」


…即答ですか、はい。

いや、騙せるとは思わんかったけど。


もうこの際、聞くべきやないやろうか?

優衣にも光くんにも同じことを言われて、正直ウチも知りたいて思う。


「光くんと話してたことに関係あるんやけど…、あの…蔵に聞きたいことがあって」

ウチは言えるん?

恥ずかしくて、恥ずかしくて、堪らなくなるのが目に見える。



「…ん。言ってほしいわ」


ウチの頬を撫でる蔵は、どこか色っぽい。

「……えっとね、えっと」



あ、やっぱり怖くなってきた。

…やってウチ、変態みたいやん。



いや待て、蔵は変態だ。

そう思うと少し心強くなった。
- 182 -


|
戻る
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -