白兎を追いかけて | ナノ





「言うこと聞かん子にはお仕置きせんとあかんなぁ」


ひいぃぃぃっ!


やばいやばいやばい。

むっちゃ嫌な予感がすんねんけど。
やって蔵のこの表情はよからぬことを考えてるとき。


「ちょ、待ち。堪忍、ウチが悪かったから、せやから、その……」


ウチが何度弁解したって時すでに遅し。

壁に押し付けられたかと思えば顎をくいっと持ち上げられた。

絡み合う、甘い視線。

それだけで全身の力が抜けてしまって、抵抗する術を無くしてしまう。


蔵はたったこれだけの行為でウチを酔わせた後、ここからだとばかりに極甘なキスをする。

まるで食べちゃうかのように。



「ふっ…ン、んっ」


侵入してくる蔵の舌。

抵抗をするけどそれはいつもの如く無意味に終わる。

甘く、甘い激しいキスに、いつの間にか支配されているのだ。

もう、のぼせてしまいそう。


思考回路すら麻痺してしまったウチは、蔵のキスに応えるように舌を絡めた。

その行為に機嫌をよくしたらしく、一層とキスが激しくなった。


それはまるで、兎を食べる狼のよう。


求め合うように何度も何度も。



唇が離れ、やっと解放された。

どのくらいキスをしてたんやろう、酸素不足のために肩で息をする。

蔵はというと余裕の笑みを浮かべてそんなウチを見下ろしていた。



「…くらの、しゅけ」

ろれつが上手く回らへん。

涙目で見上げると蔵の余裕の笑みは消えていた。


あれ?なんか顔赤ない?

意識が朦朧としてるから、よう分からんのやけど。



「そん顔でそないなこと言って、煽るだけやて。
(くらのしゅけって……ちょ、)」


「ふ、え?」


なんか、問題でもあるん?


「あかん。可愛すぎるわ」


え。


「ちょ、もいっかいだけ」


え。


「もうあかんて!授業始まるで、せや始まる!せやから、ちょっ…んんっ!」


大好きな蔵から逃げていたり、ハグも拒もうとしたのには原因があるんです。


まぁ口癖から予想出来なかった事態ではないねんけど。


ところ構わずハグしてちゅーして、とにかく触って来る。言葉攻めも勿論。




(…ウチの彼氏は、変態なのです。)




波乱万丈な日々の始まり始まり。
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