白兎を追いかけて | ナノ





――…



柚がいなくなってなにしようか迷っていると、謙也と財前に捕まってしまった。


「プリコン見に行くでー」

「プリコン?あー、あれか」


出場者は選んだ女性をドレスアップさせてそれを競うんやっけ。

四天宝寺の恒例イベントやんな。


結構な人が楽しみにしているみたいやけど…、

(…興味ないわ)



「おわ、財前!白石めっちゃダルそうな顔してるで!
柚にしか興味ないんやろ!なんかムカつくっちゅー話」

「謙也さん、ひがみにしか聞こえないんですけど」


「ひ、ひがんでへんで!っちゅーか、柚を取られたようで寂しいとも思ってへん!」


「いや、そこまで聞いてへんし」


…こいつらほんまは仲ええのやろ。




「あれ?柚はどこやねん?」

おらんの?と聞く謙也。


「なんか用があるとかでどっか行ったで」

「ふーん?」

「まさかプリコンに出てたりして」

財前の一言に謙也は大袈裟に固まって見せた。


「ないないない!柚をモデルに選ぶヤツの顔が見てみたいわ」


「しばかれたいんか謙也」


財前の言うとおり、柚が出るなら興味も湧くんやけどなぁ……。


ぜんざいのおいしさを延々と語り続ける財前を左に、ライブの余韻に浸りまくっている謙也を右に。

俺らは会場へ向かっていた。
- 168 -


|
戻る
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -