――…
柚がいなくなってなにしようか迷っていると、謙也と財前に捕まってしまった。
「プリコン見に行くでー」
「プリコン?あー、あれか」
出場者は選んだ女性をドレスアップさせてそれを競うんやっけ。
四天宝寺の恒例イベントやんな。
結構な人が楽しみにしているみたいやけど…、
(…興味ないわ)
「おわ、財前!白石めっちゃダルそうな顔してるで!
柚にしか興味ないんやろ!なんかムカつくっちゅー話」
「謙也さん、ひがみにしか聞こえないんですけど」
「ひ、ひがんでへんで!っちゅーか、柚を取られたようで寂しいとも思ってへん!」
「いや、そこまで聞いてへんし」
…こいつらほんまは仲ええのやろ。
「あれ?柚はどこやねん?」
おらんの?と聞く謙也。
「なんか用があるとかでどっか行ったで」
「ふーん?」
「まさかプリコンに出てたりして」
財前の一言に謙也は大袈裟に固まって見せた。
「ないないない!柚をモデルに選ぶヤツの顔が見てみたいわ」
「しばかれたいんか謙也」
財前の言うとおり、柚が出るなら興味も湧くんやけどなぁ……。
ぜんざいのおいしさを延々と語り続ける財前を左に、ライブの余韻に浸りまくっている謙也を右に。
俺らは会場へ向かっていた。
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