白兎を追いかけて | ナノ




蔵の歌が終わると、次に現れたのは謙也と光くん。

(そういえばデュエットするって言いよったな!)


スポットライトを浴びた二人が歌う曲は“winning shot”。


「おっしゃ財前!俺らええ感じっちゅー話や!このまま全国大会ダブルス組むでーっ」

「勘弁して下さいわ。考えただけで、………はぁ」

「なんやねんそのふっかい溜め息は!」

「すんません白石部長、俺シングルスがええです」

「おいっっ!」


曲の合間の二人のちょっとしたトークもあったりで、笑いも含んだ歓声に包まれた。

その笑いも引き継いで次に現れたのは小春ちゃんとユウジの二人。


「ほんまのラブルス見せたるで小春!」

「ウチらの存在忘れたらあかんで〜っ」


いや、忘れませんから。

濃すぎて忘れられませんわ。


二人はお得意のモノマネやお笑いコントをおっ始めて、あれ?これお笑いライブ?っちゅー空気。


“鉄板ソング”を披露した後お次は金ちゃん、千歳と続く。

そして本日のメインらしい“浪速のソーラン節”の曲が流れた。

九つのスポットライトが当てられて、ドラムやギターを演奏していたみんなが全員集合。

金ちゃんの掛け声から始まり、本日一番の盛り上がりとなった。


テンションは最大。

それは観客も、彼らも。



「ボケるためなら体も張るで〜」
「四天宝寺のお約束やねん」

あんたらは張りすぎや、モーホーめ。


「テンション上がって来たー!」


え、ちょ、今の、光くんが言ったんやんな。

キャラ違うやろ!


「108番までいくぞー!」
「108は行き過ぎやろ!」

あ、はい行き過ぎですね。波動球ちゃいますから。


「せやなぁ、大阪四天宝寺中で副部長をやってる小石川です。忘れんといてください」

忘れてへんって。

ちょっと周りの個性が濃すぎて存在が薄なっとるだけやで小石川。


最後はやっぱりこの人やった。

「盛り上がってくれてありがとう!自分らエエ感じやったでぇ!」

お決まりの「絶頂〜」で決める蔵。

と、そこに「誰が地味やねん!」と謙也。


(おまえか!おまえで終わるんかいっ!)

歌が終わってこれで終わりなのかと思いきや、スポットライトは一つになった。

ウチらの視界に入るのは、白石蔵ノ介だけ。
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