それから、もうお腹がはちきれそうと嘘をつくと、蔵はすんなり納得してくれた。
「ほな、あれ入ろか」
蔵が指差したのは、あー文化祭っちゅーたらどっかのクラスはやるんやろうなぁ……、なお化け屋敷。
ひゅーーどろんどろん…。
(………………。)
やばい。やばいよあれ。
外見からして完成度むっちゃ高いねんけど。
「なぁ蔵知っとる?四天宝寺の七不思議で文化祭のお化け屋敷に入ると呪わ―…」
「いや、ないし」
「蔵――…、止めようや。絶対こういう所本物が一匹か二匹紛れとるって」
「自分、合宿んときお化けになっとったクセによう言うわ」
「あれはあれや。脅かす側やったら別にええもん」
「むちゃくちゃな理屈やな」
嫌や嫌やってかーなーり主張したんに、悲しくも連れて行かれました。
入場料を払っていざ入室。
蔵が入って、その後ろに続いた。
…BGMから怖いんやけど。
キョロキョロ見回すと、暗くてよく分からんのやけど井戸やら古ぼけたテレビやらが置いてある。
え?なんなん?
リ〇グですかい!?貞子様でも登場させる気ですかい!
井戸をじぃーーーっと見ていると、白い物体が見えた。
ん?なんやねんこれ、指?
這い上がって来たのは髪の長い女性、幽霊、貞子様やった。
「ぎゃ――――――――――――!」
で、で、で、出た!
貞子様やんっむっちゃ髪長いやんっ!
出た、ほんまに貞子様に会ってしまった。ウチはもう死んでまうんやー!
せっかく蔵と両想いになったんに、死ぬなんて嫌や。
名残惜しすぎて成仏できへんわ!蔵を愛する亡霊になってしまう〜。
あ、魂葬されるなら日番谷隊長がいいな。
「ちょ、うっさいわ柚!鼓膜破れたらどないすんの!」
「あ、すみません」
…幽霊に怒られた。
っちゅーかあれ?貞子様ってもしかして二年のとき同クラやった良子ちゃんやないの。
「うわ、白石くんやん、神〜。ほなまた」
「「………。」」
良子ちゃんは井戸の中に帰って行きました。
(あれ?お化け屋敷ってこーいうもんやっけ?)
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