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「ん〜っ、おいひぃー!」
流石たこ焼きの本場、大阪や!
文化祭に出すたこ焼きのレベルが他と違うわ〜。鉄人レベルや!
「柚はいつも幸せそうに食べんねんな」
「へへっ。やって美味しゅして」
美味しいって、幸せやんか。
「そういうとこ、好きやで」
そう。ヤツはナチュラルにさらっと恥ずかしい台詞を言うのだ。その笑みは、最早殺人レベルである。
「はぅっ!」
「…どないしたん?」
「いや、ちょっと胸が痛んで」
ウチを殺す気か、胸きゅん王子め。
「大丈夫なん?見してみ?」
「…貧相な胸は見せられません」
「いや、やっぱ心配や。どらどら、愛しの蔵に見せてみ」
「この変態!」
自分で愛しの蔵言うなっちゅーの!
断じて間違ってへんけどな!
突っ込みを受けた蔵は口を尖らせて残りのたこ焼きをつついていた。
「合宿んとき、財前に見せよったやんか」
…どうやら拗ねているよう。
「いや…あれは見せてへんし。
光くんが勝手に…………、」
なんか、自分で言うてて恥ずかしなって来たわ。
「でも…ほんま恥ずかしかったわ、あんとき。てっきり…蔵が助けてくれるもんて思ってたから謙也が助けてくれてむっちゃ驚いてん」
「あぁー……。
俺かて助けたかったわ。せやからものっそい悔しかったんやで」
「え?ほんまなん?」
「ほんまやて。好きな子助けたいって思うのは当たり前やろ」
胸がきゅーーっと引き締められる。
どうしようもなく、幸せが込み上げる。
(これが所謂キュン死に?)
蔵が、「好き」と発する度に体中が熱に犯されんねん。
昨日より今日の方が蔵のことを好きになっている。
「ウチも、蔵に助けられたい」
「おん。次は任しとき」
もうウチの世界が、蔵なんや。
絶対的存在が、白石 蔵ノ介なんや。
「ちなみになして滝のときは助けてくれんかったん?」
「柚の下着に見惚れてて」
「変態!アホ!」
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