白兎を追いかけて | ナノ



学校に着いたらまずは光くんに目撃された。

手を繋いでる姿にウチらの関係を悟ったよう。


「八割俺のおかげでしょ。
ほな褒美としてジュース一本」

「ホストんとき柚に指名されてたやろ。悔しいからナシや」


あ、悔しかったんだ。

…光くんには後でこっそりぜんざいを奉納しよう。



謙也と優衣にも報告したらとても喜んでくれた。


「白石、おまえはヘタレ卒業や」

「…あぁ、おおきに」


あれ?なんかとっても違和感のある会話なんやけど。


席に着くなり昨日なにがあったんやねんと優衣に問いつめられていた。

あー…説明しにくいなぁ。


なんて悩んでると、いつの間にか蔵が隣に来ていた。


「桐島さん、今日柚借りてええ?」

「あ、うんええよ。
こんなんでよければ」


っておい!あんたはウチのオカンか!


「おおきに。
柚、文化祭一緒回らへん?」


「…っえ?」

蔵と、文化祭回れるの?


「あ、嫌?」

「い、嫌なわけないやんっ。むっちゃ…嬉しい」


「ほんならよかった。後で迎えに来るからな」


包帯をつけた左手でまたなと手を振られ、ウチはその姿を見つめることしか出来なかった。


ほんま…夢のよう。夢なら、絶対絶対絶対覚めんといてほしい。



「ラブラブやん。ひゅーひゅー」

「…からかわんといて」

「プリンス白石の彼女ってあんますごい看板やで。何人の女子が泣くんやろ、可哀想やなぁ」

「あんためっちゃ笑ってますけど」


…せなんなぁ。蔵に想いを寄せてる人はたくさんおる。

その人たちのことを思うと胸が痛む。


(まぁ蔵は渡さんけどな)


「ほな、昨日の出来事隅から隅まで吐きなされ」

「え゛、」



…当分は落ち着けなさそうや。
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