数学の時間は蔵が分かりやすく教えてくれたおかげでちゃんと正解出来た。
嬉しくって蔵に視線を向けるといつものように優しく笑ってくれた。
そして今は、お昼休み。
お弁当を一緒に食べるのは、ウチの良き理解者であり親友の桐島優衣。
卵焼きを突っつくウチに衝撃的なことを言った。
「ね、柚。告るべきやて」
「!な、ななな…!」
「だってあんなに仲良しやないの。上手くいくて思うけどな」
「な…なに言うてんっっっ!」
なに無理なこと言うてんの!
ウチが蔵に…?むむむ、無理やて!
「っちゅーか、叶わんやろ」
吐き捨てた一言を優衣は聞き逃してはくれなかった。
「まーたその一言で片付けるんやから」
「だって…、」
告白しても、振られるのが目に見えとるやん。
蔵には…なんっちゅーか大人っぽい女性が似合うもん。
ウチなんか…蔵の隣におっても妹みたいやし。
「あ、病んだ」
「やって――…優衣〜…」
「柚は可愛いねんで?自信持ちぃや」
「優衣、ウチを甘やかさんといて。あとお世辞はいらんわ」
「もーう……」
そのとき、教室のドア付近で聞き捨てならない声がした。
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