白兎を追いかけて | ナノ


久しぶりの、蔵の熱。

ウチはこの安らぎを求めてた。



「…なぁ柚、夢みたいなんやけど」

「ひっく…、えっ…?」


「俺も柚のこと、大好きや」


「ぐすっ…ひっく、あ、ええねん。蔵の答えなんて分かっとったし……、ひぐっ、ウチの…勝手な…………………、」






……あれ?



「蔵、今…なんて?」

「柚が大好きやて」

「……???え?」

「すきやで」



蔵が、ウチを、好き?


「うううう嘘だ!」

「俺から言うつもりやったんやけど、先越されてしもたわー」


え、嘘。

ほんまのほんまに?


蔵が、ウチを好きって?


(……………。)


「うわ―――――――――――――ん!」


「え!なんで泣くん!」


やって、やって、信じられんくて。

ウチと蔵の気持ちが一緒やなんて、幸せにも程がある。


蔵に頭を撫でられ宥められる。

流石蔵や。
ウチを宥める方法を熟知してはる。


「ウチにちゅーしてくれたんは、気まぐれやない…の?」

「好きやからに決まっとるやろ!
好きやからあんな卑怯なゲームしてキスしたんや」


そう…やったんや。

なんか、嬉しいわ。


「でも蔵、昨日は佐倉さんと抱き締め合ってたやん。今日はちゅーしてた」


せやから蔵は誰でも受け入れるってばかり思ってたわ。


「あー…昨日の抱き付かれたん見てたんか。あれは不意打ちやったで、ほんま」

「なんで…抵抗せんかったの?」


「柚にショッキングなこと言われて放心状態やったからや」

「あ、そうやったんか…」

……でも嫌や。


「それから、ちゅーは実際しとらんで」


「っ、え?」


あれ?ウチちゃんとこの目で見たのに。
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