「その柚が、泣いてるんや!」
俺のために…?
俺のために泣くのをこらえてたん?
合宿の山の中でやって、寂しくて怖かったやろうに、柚は泣いてへんかった。
なんで、やねん。
なんでそないに……。
柚は俺のこと、どう思ってるん?
「柚に嫌われてるんやないかって怖じ気づくなんておまえらしないやろ!柚は誰にも渡さんて言いよったのはハッタリか!強引にでも包み込んでやるべきっちゅー話や!このヘタレ!」
「………そん通り、や」
「そうや。おまえはヘタレや」
いや、そこちゃうし。
ってかなんでヘタレて人に言うことに、喜びを感じてるんか。
…まぁ、なんか、おかげで吹っ切れた気分や。
柚に拒否されたって嫌がられたって、俺は柚が好きなんやから。
ちゃんと、その気持ちを伝えなあかん。
「ほな、ヘタレ返上しに言ってくるわ」
「おぅ、行ってき」
なぁ、柚、聞いて欲しいことがあるんや。
伝えたい言葉、今度こそは聞いてくれるやろうか?
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