白兎を追いかけて | ナノ


「―――…せやから、AB=CDは成り立つんや。どや?分かったか?」

「うんっ。分かったで!むっちゃ分かりやすいわ!」


ほんまに蔵は教え方が上手いと思う。
だってこのウチが分かるように説明してくれるんやもん。


「ほんならよかったわ」

「おおきに〜。ほんま蔵には弱点がないわ」

「なに言うてん、あるわ」


蔵に弱点?そんなんないやろ!っちゅーか見たことも聞いたこともないで。


「なんなん?うちむっちゃ知りたいわ」

「嫌や、教えれん」

「大丈夫やって。ウチ秘密は守る主義や〜」


机で向かい合うウチら、ちょっと近くない?なんて。
幸せや、むっちゃ幸せや!

この休み時間が永久に続かへんかなぁ〜〜っ。


「兎を捕まえることや」


ボソリと呟かれた蔵の弱点。


……は?弱点って、それ?

っちゅーか動物を捕まえることが苦手なんは弱点やないやろ!



「あっははは、なんやねん!やっぱ蔵、アホちゃうん?」

アホやないな、天然や。


「アホは柚や、ドアホ」


「なんでうちやねん。ウィークポイントの意味履き違えとる蔵やろ〜」


「俺、真剣やで?」

「真剣にアホやな」

「もうええ」

「なんでヘコんどるん?ヘコむ蔵も可愛えーなー」


つんつんと頬を突っつくと、蔵は溜め息をついてウチの指を握った。


「さっきの弱点っちゅーのは、みんなに内緒やで。分かったな?」

「?ん?了解や〜」


そのまま頭をポンポンと撫でられた。


あ、好きや。好きがまた増えてしもた。


(蔵に頭撫でられるの…ほんま好き)
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