白兎を追いかけて | ナノ



被服室に連れてこられ、飾ってあるドレスに絶句した。


「う………わ、」


純白なウエディングドレス。

所々に薔薇の花が咲いていて、派手すぎないそのデザインに心惹かれた。


「徹夜しまくったで〜ほんま!ものっそい頑張ったわ」

「すごい……。むっちゃ、綺麗…」


ドレスは作らんとあかんわけではないのに、そないなルールはないのに、作ってくれるなんて……。


むっちゃ嬉しい。


……でも、



「絶対花風さんに似合うて思うて作ったんやで」


……でも、


「ほんまおおきに。むっちゃ感動したわ」


「ええんやでええんやで〜。明日は優勝狙っていこーなっ」


純白はウチに似合わない。

ウチはこんなにも真っ黒やから。



(着れ、へん)


昔のウチなら喜んで着た筈なのに。
今ではどす黒い塊のような自分を見つけてしまったから。


真っ白なドレスに抵抗を感じる。



(ウチはこのドレスを、着てええの?)




着る権利は、あるん?
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