白兎を追いかけて | ナノ



朝練が終わり、教室へ向かう。

同じクラスであるウチと蔵と謙也は一緒に教室へ行くのが日課。


「あ、ウチ今日数学当たるわ」

「予習してないん?」

「…してへん」

「そら、ドンマイな話やな」


なんやねん。そーゆう謙也が予習をしとるとこなんていっぺんも見たことあらへんわ。


「蔵りん…っ」

「見せへんで」

「ゔ……、」


やっぱり蔵は真面目だ。成績優秀なんわ、こーいう所から来とるんやけど。


「証明の問題…苦手やー」

っちゅーか数学自体苦手なんやけど…。


「休み時間、教えたるで」

「!…え!ほんま?」

「ほんまほんま」


あ―――…っ!もうヤバいねんけど!

なんでなん?なんで蔵はこないに優しいん?


蔵はウチのツボや!


(ほんま大好きっ)


嬉し過ぎて隣の謙也をバシバシと叩く。
迷惑そうにうぇっ、と表情をしかめる謙也。


(よかったな)


謙也に口パクされて満面の笑顔で頷いた。


その光景を見ている蔵が、切なげにウチに視線を注いでいることをウチは知らない。


(謙也と喋るときの柚、ほんま幸せそうやなぁ…)
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