白兎を追いかけて | ナノ




「怖くても、頑張らなあかんですよ」


「…でも、ウチは」


頑張ったって、その先になにが待ってるん?

傷付く、だけ。


「大丈夫です。柚先輩は一生懸命想うてんですから、ほんま馬鹿の一つ覚えみたいに」

「笑顔で毒吐くな!」

「…とりあえず、もうちょっとだけ頑張って下さい。どんなおかしなっても柚先輩は柚先輩なんですから。きっと白石部長もそう言うんやないですか」


「ウチは、…ウチ」


胸に響いて、心が温まる。


「なぁ光くん。ウチな、最近欲張り過ぎになっててん。やから、蔵に拒否られるんやないかって怯えとった。突き放すような真似、してしもた」


蔵は優しいから、悩ませてしまうんやないかと不安やった。


「こんなウチを、分かってもらえるかな?」


受け入れて貰えんでも、分かって欲しい。

怖いという思いが邪魔するけど、それじゃあ一生弱虫なままや。


スーパー少女なんて、名前負けや。

有名無実っちゅー話やねん。



「分かって貰える所じゃないて思いますけど」


「え?」


「あ、いやこっちの話です。(……部長、泣くな)」



「…ありがとうな、光くん」


拳を、握る。

変わらんと、あかんねん。


怖がって、逃げてばかりの自分にオサラバするんや。


傷付くとか、そんなんより。

大事なモンがあるから。



両足で立って、胸を張って、伝えよう。


ありのままのこの気持ちを。




蔵に、想いを伝えよう。
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