柚へ伸ばした掌。
きっとキミを取り戻せると信じて、華奢な肩に触れたそのとき。
「触らんといて!」
怒鳴るというよりも悲叫やった。
教室中に響いた叫び声。
クラスの皆が唖然としてこちらを注目していた。
そして俺は、言葉を失っていた。
柚は、俺を、拒絶したんや。
(柚…、)
あまりのショックに思考回路が上手く発達しない。
目の前が真っ白のようで真っ暗やった。
そのまま柚は立ち上がって、俺の横をすり抜けた。
やっぱり君は、どんなに追いかけてもいつも逃げていく。
どんなに強く抱き締めたって、簡単にすり抜けて行く。
柚、俺はこんなにもおまえが好きなんに…。
振り向く所か失ってしまった愛しいキミ。
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