なんとなく、なんとなくなんやけど、蔵とキスをしたあの日から、なにかが変わってしまった気がする。
端から見たら、分からんのやろうけど。
ウチの中の何かが、確かに変わって来ているような…。
(多分…汚くて、貪欲になってる。)
自分が、怖い。
もし蔵が離れてしまったら、ウチが狂ってしまいそうで。
これ以上、蔵に溺れてええのやろうか。
話す度、触れる度、好きはどんどん募る。
蔵を好きになることに抵抗を感じた。
…抵抗、ちゃうな。
(正しく言えば、恐怖や。)
膨らむ独占欲が、蔵への想いのあまり、ウチが狂気になり、凶器になりそうな気がした。
「なぁ、柚」
「ん?」
…せやから。
「今日、デートせえへん?」
嬉しくて堪らない蔵のお誘いに、躊躇いを感じてしまった。
まるで、今日起こる出来事の予兆のように…――。
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