白兎を追いかけて | ナノ



「てか、文化祭の練習て言いよったけど、白石くんたちなにかするん?」


「んーとね、男テニでライブするんやって」

「うっわ、そらごっつ人集まるっしょ。女の子とか…とくに」


蔵の歌声なんかどの女子にも聞かせたないわ。
人気にさらに火が付いてしまうやろ。


まぁウチは一番前のセンター予約されてますけどね!

なんったってマネージャーやからなっ。


「でもな、そのライブ、有料やねん」

「は!?金取るん?」


「お一人様500円になりますー」

「え!微妙に高っ!てかなんで有料やねん」


「いや――、全国大会へのお金が部費じゃ賄いきらんっちゅーリアルな話やねん」

「あー…寄付、的な?」


「去年より部員も増えたしな〜。男テニ必死やで。ホストクラブもやるらしいし」

「はぁ!?…いや、ちょっと、ホストクラブって……、」


優衣の言いたいことはよう分かる。


ウチも最初は反対したんやで。

まだ去年みたいに女装喫茶してた方がええって言うた。


せやけど…、


「あ、堪忍なー!こん前の合宿に部費使いすぎて0やねん」

オサムちゃん!

頭を抱えた男テニは(ほとんど蔵)手段は選ばんで!と意気込んで計画したのがホストクラブ。

冗談抜きで部費を稼ぎたいらしい。


1日目がホストクラブ、2日目がバンド。


なんかもうお楽しみ要素ぎっしりやないの。


(カメラ持ってこー)


ホスト=スーツ。

蔵のスーツ姿なんて滅多に拝めんからな。
絶対かっこいいんやろうな。


鼻血もんやて、うわ〜。
……(妄想中)………うわ〜っ。


うん、イイ!


目を輝かせるウチを見て、親友は言った。

「ほんならその日は、みんなの白石くんになるわけやね」



(…………、…え?)
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