ユニフォーム姿で汗に濡れる薮内くんは、サッカー青年そのもの。爽やか倍増しとるやん。
「かっこええな〜薮内くん。ユニフォームも似合うとるし」
「うわっ、ほんま?花風に言われるんは特別嬉しいわ!」
「そない…大袈裟な〜」
「ってか、シュート決まらんの見られたんは恥ずいわー。うわー花風見よったんか〜」
「あ、うん。せやけど、スポーツ選手には調子が悪いときもあって当たり前やろ」
「さすが、マネージャーやな」
「蔵やってスランプ迎えたときはむっちゃ大変やったんやで」
「そうなん?」
「そりゃーもう!バイブル言われてんのにこないな俺じゃあかんーて嘆きよってな。なんて慰めたらええのかってむっちゃ悩んでん。ずっと二人で唸りよったらほんまアホらしなってな、笑って乗り越えたっちゅー…、」
あ、やば。
「…そうなんかー」
喋りすぎや、ウチ。
「ほんま好きなんやなー。…白石のこと」
「……うん」
ウチは、どうしてこうも無神経なんやろう。
ほんま、腹立つわ。
「さっきの会議の後な、白石と花風が二人で歩き行く姿を見て、分かっててんけどむっちゃ妬いたわ」
「…うん」
ウチやって、蔵が違う女の子と歩く姿なんて見たない。
「練習も手つかんし、自分が嫌になったわ。なんでこないに花風が好きなんやろな、俺」
…痛い。
胸が、痛い。
ウチがこないな想いをさせてるんに、ウチじゃあどうすることも出来なくて。
「ごめん…薮内くん。ウチは、蔵が…好きやねん」
ごめん。
「…ちゃんと分かっとるで。それでも、好きや」
ほんま、ごめん。
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