白兎を追いかけて | ナノ



ユニフォーム姿で汗に濡れる薮内くんは、サッカー青年そのもの。爽やか倍増しとるやん。


「かっこええな〜薮内くん。ユニフォームも似合うとるし」

「うわっ、ほんま?花風に言われるんは特別嬉しいわ!」

「そない…大袈裟な〜」

「ってか、シュート決まらんの見られたんは恥ずいわー。うわー花風見よったんか〜」

「あ、うん。せやけど、スポーツ選手には調子が悪いときもあって当たり前やろ」

「さすが、マネージャーやな」


「蔵やってスランプ迎えたときはむっちゃ大変やったんやで」

「そうなん?」

「そりゃーもう!バイブル言われてんのにこないな俺じゃあかんーて嘆きよってな。なんて慰めたらええのかってむっちゃ悩んでん。ずっと二人で唸りよったらほんまアホらしなってな、笑って乗り越えたっちゅー…、」


あ、やば。


「…そうなんかー」


喋りすぎや、ウチ。


「ほんま好きなんやなー。…白石のこと」

「……うん」


ウチは、どうしてこうも無神経なんやろう。

ほんま、腹立つわ。


「さっきの会議の後な、白石と花風が二人で歩き行く姿を見て、分かっててんけどむっちゃ妬いたわ」

「…うん」


ウチやって、蔵が違う女の子と歩く姿なんて見たない。


「練習も手つかんし、自分が嫌になったわ。なんでこないに花風が好きなんやろな、俺」


…痛い。

胸が、痛い。

ウチがこないな想いをさせてるんに、ウチじゃあどうすることも出来なくて。


「ごめん…薮内くん。ウチは、蔵が…好きやねん」


ごめん。


「…ちゃんと分かっとるで。それでも、好きや」


ほんま、ごめん。
- 96 -


|
戻る
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -