白兎を追いかけて | ナノ



え?…………あ、…え?

ななな、なに言うてん!?



テニス部のマネージャー?

………ウチが?

あの王子様ザクザクの領域にウチが足を踏み入れなあかんの?


「…じょ、冗談きついわー白石くん」

「本気や本気!」


マネージャーっちゅーアイデアはナイスなんやけど、テニス部はあかんわ。

タメはよしとして、女子の先輩全員を敵に回すことになる…。


「テニス部なぁ、ミーハー気分でマネージャー希望する子しかおらへんのや。せやからマネージャー0で困っとるんわ。花風もどこか入部せなあかんのやろ?」

「せやかて…マネ業ってきついやん」


マネージャーっちゅーのは少女漫画みたいにただの逆ハーな夢の世界やないことは知っとる。


ガチできつい、と…友達が言いよった。


(う―――ん…)


よりにもよって白石プリンスのお誘いを断るなんてありえない!とか友達みんなに言われるんやろなぁ。


白石くんはそんなウチの肩を掴んだまま、とびっきりの無邪気な笑顔を見せた。



「絶対楽しませたる!キツいだけの仕事やないこと、絶対後悔せえへんこと、誓うわ!」


お………わ!

ものすごい迫力と自信。


「来年も再来年も、絶対全国大会連れてくで!優勝…してみせるわ!」


…なんや、ウチはタッチの南ちゃんみたいになっとるやん。
言っときますがウチはあんな胸ないでー。


さっきまでやる気はなかってんけど、白石くんの言葉で心が動いたのか…ウチ今、わくわくしとるわ。


今日は白石くんに助けられすぎた。

お礼はせなんて思いよった。



「ええで」

「ほ、ほんまか?」


ウチの一言でパァッと表情が明るくなる。

白石くんはテニスがほんまに大好きなんやろうなぁ。

なんや…応援したなったわ。



「ウチ、白石くんのテニスが見たい」



白石くんが頑張る姿をウチは、支えたくなった。
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