白兎を追いかけて | ナノ





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ハァ、ハァ。

久し振りにこないに汗かいたわ。


ふわり、と。
大きなタオルが包み込み、蔵に優しく汗を拭かれる。


「お疲れ、柚」


ほんま、お疲れやわ。
っちゅーか、ほんま、

「悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しーい!」


スーパー少女、撃沈。

負けましたよ、はい。
完全敗北です、はい。


「よしよし、柚は頑張ったな〜」

「馬鹿にしてるやろ!」


子どもをあやしてるんか!


あー悔しい悔しい悔しーい!せっかくたこ焼き1ヶ月食べ放題やったんに〜〜!


「ウチ、本気やったのに」

1ポイントも取れへんかった。

軽くあしらわれるように負けてしもた。


(無念やー…、)


蔵はどれだけ強いんか。
伊達に二年も部長続けてへんな。


「俺も本気やったで。柚、強すぎやて」

「…ほんま?」


蔵、本気出してくれたん?


「ほんまやて」

「……てへ、」


ちょっぴり嬉しい。あれ?単純?…そんなことはない。


「ほら柚、じっとしぃ。汗拭けへんやろー」

「はーい」


慰められて、汗まで拭いてもらってるウチ。もうなんかウチ、赤子です。せやけど気持ちよくて仕方ないんです。


「気持ちぃー」

「柚、猫みたいやで」

「ごろごろ〜」

「(ニャンニャンと言って欲しかった…)」


蔵に汗を拭いてもらえるなら、運動するのも悪ないな。


いい勝負やったわ、うん!運動は……好きやないけど、蔵とテニスするのは楽しかったで!

ってあれ?
ウチ、なんか大切なこと忘れてへんか?


「っちゅーわけで、いうこと聞いてもらうで」


(………。)


忘 れ て た !
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