「薮内徹平。
一月五日生まれのやぎ座。
血液型はAB。
好きな食べ物はクリームコロッケで嫌いな食べ物はグリンピース。
そのかっこよくかわいらしい容姿から人気を得ている爽やかなサッカー部部長。
ちなみに好きなタイプは可愛くて元気な子。
好きな子は花風柚」
出た、IQ200!
小春ちゃんには誰の情報も筒抜けだ。
「可愛い子?はっ、正反対やないか」
「なんでウチ指差すん」
「小春〜、情報間違えたんちゃう?」
「間違えてへんから!」
一氏は薮内くんの声真似をして小春ちゃんと愛の劇場をし始めた。
「好きやねん、花風」
「あ、アカンわ!ウチには蔵リンが……!」
……勝手にしろ。
まさか薮内くんもこない所でネタにされて真似されてるなんて思ってへんのやろうなぁ。
ウチの馬鹿な部員を許してな。
蔵はというと、コートで光くんと乱打中のよう。
あれ?流れる汗までもがキラキラしてへんか?
とりあえずいつものように見惚れる。
無駄のないラケットの振り。
本当に綺麗なテニス。
あの逞しい体でぎゅーってされたい、綺麗な唇でちゅーされたい。
…ってこれ本日二回目やん。
(ウチって変態)
最近じゃ、想いが先走り過ぎている。
欲が深まり過ぎてる。
合宿で蔵と仲直りしたときは、隣におれるだけでええて思ってたのに、少し経っただけでこの有り様。
(蔵がかっこいいのが悪い)
ウチの視線に気付いたのか、蔵が振り返った。
うわっ、やば…っ。
ウチ今確実にふにゃーんって気の抜けた感じで見つめよったわ。
咄嗟に視線を逸らすも、蔵はウチに微笑んでくれた。その笑みが、ほんまに嬉しそうやったから、…どうしたらいいか分からなくなった。
赤面して俯くウチの想いは、もうバレてるんちゃうやろか。
赤面するウチに蔵は近付いてきて、耳元で「今日自主練するから待っといてくれる?」と囁いてきた。
なんで耳元でいうんねん。
体の全神経を持って行かれながらも頷けたウチは、頑張ったと思う。
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