白兎を追いかけて | ナノ




振り返りながらに視界に入ったのは、あの爽やか長身ボーイ。


「薮内くんっ」


むっちゃええ人薮内くんやん!
ウチは嬉しくて、ぴょんこぴょんこ跳ねて手を振る。

薮内くんもあの特徴的な可愛い笑顔で手を振り返してくれて、なんだか嬉しくなった。


「ジャージにスカート姿も可愛いなぁ」

「えへへーそれ程でも」

『アホ!お世辞に決まっとるやろ!』
…どこからともなく謙也の声がした、気がした。


「ほんま、ウチ(サッカー部)のマネージャーになってくれればええんに」

「なに言うてんー。ちゃんとマネさんがおるやろ」

「せやけど花風がおったら、勇気も元気もなにもかも百倍やて」


アンパンマンか!なんて、笑いながら突っ込もうとした瞬間。


「柚はテニス部のマネージャーやねんから、サッカー部にはやらんで」

にこやかに笑う(?)蔵がおった。


「白石くんやない。さっきはお互いにええ会議やったな、おおきに」

「こっちこそやで。結構自分、見かけの割に考えとること奥深いんやなぁって感心した所や」

「白石の毒は手だけやなくて口からも出るんやな。その顔で何人を落としてきたんかむっちゃ気になるわ」


笑顔一点張りで会話をする二人。
入り込む隙はウチにイチミリもない。

っちゅーかこん二人、むっちゃ仲ええやん!
知らんやったわ。いつの間にやねん。

まぁ部長さん同士なんやから、おかしない…よな?


「柚、行くで」

「え?あ、うん…」


何となく、違和感がした。
蔵に手を引かれて、その場を後にする。


残像は悲しげにこちらを見つめる薮内くん。

なんか、変だ。


「女の勘は99%で当たるんやで」


途端、根拠もない優衣の言葉がフラッシュバックしたのは、何故?
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