白兎を追いかけて | ナノ




「蔵、まだ終わらんのかなぁー…」


部長会議が行われている教室の外で、ポツーンと待っているウチ。


寂しい寂しい、暇。ウサギさんは寂しいと死んじゃうんだぞー蔵リーン。


蔵がいない部活は金ちゃんは暴れるし千歳は神隠しのように消えるし(サボリ)小春ちゃんと一氏くんは漫才始めるし、荒れ放題。

光くんはいつも以上に謙也を苛めて遊んでる。泣きべそかいてる謙也が「早よ白石連れてきてや!」って言うもんやからウチがここで蔵を待っとるっちゅーわけ。


「白石のしーは、死ぬほどかっこいいのしー。白石のしーは、エクスタシーのしー」

…あぁ、ひまっくす。
早よ蔵に会いたいなぁ。


またぎゅーってしてなでなでしてくれへんやろうか。

あの瞬間がウチの一番幸せなんやから。


静かな廊下。聞こえるのは、吹奏楽部の演奏や、運動部のかけ声やボールを蹴ったり打ったりするさまざまな音。


…ちょっと落ち着くかも。


「蔵ノ介のくーは、食い倒れのくー」
「誰が食い倒れやねん」


へ?
見上げると、蔵。


「くーちゃんやっと終わったん?」

「今終わったんや。っちゅーかくーちゃん呼ぶの禁止やて」

「蔵リンのことむっちゃ待っててん」

「ほんまおおきに。…蔵リンも禁止や」


立ち上がりながら、なんてことないいつもの会話を交わす。
「わざと呼んでるやろ!」て言われたから、逃げるようにヘラリと笑ってあげた。


「待っててくれるんは嬉しいんけど、部活はどうしたん?」

「蔵おらんと収まらん状態やねん。せやから迎え来た」

「…ほんま手ぇ焼かす部員たちやな」


蔵の隣に並んで歩き出そうとすると、最近覚えた声が後方から聞こえた。


「花風!」
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