酷いお人だ(烏城)


 沢山食べることもあってかいつもは寝付きのいい金吾さんが、「眠れないんだ」と私の部屋にやってきたのはつい先刻のこと。薬を欲しがるわけでもなく、最早趣味の1つとなりつつある手紙を認めていた私の横にちょこんと座り込んで、何やら話している。私ははいとかほうとか適当な相槌を打っているだけなのに(というか聞いてすらいない)、お構いなしに喋り続ける。内容こそ流しているものの、楽しそうなその声を聞いているだけで仮面の下の唇が釣り上がった。
 
 笑みを作るにはこの仮面は煩わしい。貴方はそうやって私の仮面を剥いでいくのですか。顔も心も、眩しすぎる光の下に晒せというのですか。嗚呼、なんて残酷な!
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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