あかい月(秀半)


 どこぞの謀反人のように殺しに快楽を見出しているのではない。ただ僕は、秀吉のために殺し続ける。戦場で彼を守れないのなら、彼の力になれないのなら、僕に存在価値などないだろう。なんて感傷的になってみる。

 血に汚れた手で、白い花を掴む。それを口に運ぶ。花弁一枚一枚を噛みちぎるようにゆっくり咀嚼し、嚥下した。癖になりそうな味だなあとぼんやり思った。
 
 
 僕は赤黒く汚れていく手で人を喰らって、君の隣で生きていくよ、秀吉。
 
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