世界がそれでも回るなら(進撃の巨人・リヴァペト)
夜明け前。壁外においては緊張状態がいやが上にも増す時。今は静かでも、明るくなれば『あいつら』が闊歩する世界になる。
「もう少しで壁の中だ。飛ばせ!」
リヴァイの声に導かれるように、ペトラは疲れている馬に心で詫びながら、その腹を蹴った。
周りを見れば、壁内から出てきたよりもずいぶんと寂しい人数になっていて、思わず鼻の奥が目元が熱くなる。
まだだ、まだ泣けない。
目の前を走る自由の翼は、もっと深い哀しみを、怒りを、それらだけでないものを背負っているのだ。
何度経験しても慣れることなどない、ただただ積み重なっていくものを…
また鼻の奥や目元があやしくなってきた。
馬を走らせるのに必死だから、こすることも出来ない。誰もかれも必死だから、泣くのを堪える情けない顔になっていても気付くことはあるまい。
そう思った瞬間、振り返ったリヴァイと目が合った。一瞬、ではあったが。
何て顔を見られたのか。恥ずかしさと自分の情けなさに思わず歯噛みする。その悔しさと自分への怒りが涙を乾かし、ペトラをまた『兵士』に戻した。
やがて、壁の扉への道を指し示すがごとく太陽が上ってきた。
同じ夜明けでも、壁内と壁外ではこうも違うものか…でもいつか、壁外の夜明けが不安だと思わないように出来るのなら…
そんな『いい顔』をしている彼女をほんの少しの間、振り返って見た男がいたことを、ペトラが知るのはずいぶん後になってからだった。
進撃さんお題、初リヴァペト。リヴァイとペトラが出ているだけなんだけど、リヴァペトを主張(笑)
そしてお題はどこへ…(^^;)