甘い毒を飲み下す





楽観的な状況じゃねえな。

惚れている女が夜に薄着で訪ねてきたっていうのに、浮かれる気持ちはしなかった。
嬉しくないわけじゃない、触れたくないわけじゃない。ただ、これは賭けだと思った。触れてしまえばのめり込む。
拒めば…どうなるのか、今の俺には分からなかった。
常に最悪な状況を考えなければ生きてはいけない世界を渡ってきたはずなのに、『どうなるのか』を考えたくないなんざ…つまり、選択肢はひとつな訳だ。

「ベオウルフ…」

熱っぽい甘い声で呼ばれ、細い指が俺のシャツをつかむ。見上げる大きな瞳は羞恥と不安で揺れている、と言ったところか。

「負けたよ、…ラケシス。俺の負けだ」

えっ、と小さく驚く声ごと唇を塞ぐ。
そのまま腕の中におさめれば、やがて唇に塩っぽい液体が流れてきた。

この甘い毒が体中に回って、動けなくなるまでそばにいられるといいんだか…

柄にもなくそんな願いごとをしながら、俺は彼女の涙を唇で拭った。







診断さんお題…のはずが、お題はどこに(笑)















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