小話詰め@
『最初で最後の我が儘』

兵長は理不尽な要求をする人間には辛辣極まりないけれど、生死を共にするような人間には逆に拍子抜けするくらいに、我を通すようなことはしない。だからこそ、私に心ごと寄りかかってくるときは嬉しくなる。「こんなことしたことねえが…」あなたの我が儘を私で良ければききますね。



『最初で最後の我が儘A』

「私、我が儘なんです」それなら負けねえと思ったが口にはせず、彼女をきつく抱き締める。「ホントですからね。知りませんよ」俺の背中に彼女の手が回される。結局、何かしてほしいとかはついぞ聞くことはなかったが…"あなたに全てを捧げます"…ったく、大した我が儘だ。きけるわけねえだろ…



『返事は聞かない』

「返事は聞きませんからとにかく聞いて下さい!」と前置きすれば、兵長に想いを告げるという私の願いも叶うのかな…「クソして寝ろ」とか返されそう…ハハ…「ペトラ、返事は聞かん。ずっと俺のそばにいろ」…何て幸せな幻聴…え? 「言ったからな」あ、あの、近すぎます、兵長…!!



『返事は聞かないA』

討伐数を数えなくなった巨人相手より、目の前の女相手の方が何倍も神経を使う。俺から手をのばせば後退りする理由は分かる。互いの立場、周りの状況…分かっちゃいるが…。もう一度手をのばし、彼女の二の腕を掴む。「逃げたきゃ逃げろ。逃がすつもりは無いがな」矛盾しているが、これが本心だ。



『もう戻ってはこない』

もう戻ってはこないかもしれない…壁外調査の日程が決まると、必ず脳裏をかすめる思い。だから私は毎回想いの丈を手紙に書いて、こんなのを読まれないためにも戻ってくると自分に暗示をかける。私の代わりに手紙が兵長に告白するなんて…! 回を重ねる度に強くなる想いを自分の口から告げるためにも。



『置き去りにした願い』

捨ててきた。それは事実だ。そのことでどう思われようと、構わない。一々気にしているようでは身動きすらとれない。「でもいつか行くんでしょ?」ハンジの問いは肯定だった。分かってんなら聞くな。ああ、捨てたんじゃない。あの森に置いてきたんだ。彼女の願いも想いも……伝えなかった俺の想いも。



『拒めないぬくもり』

きっと私の知らない所で何かあったのだろう。いつになく憔悴しきった顔をしながらも、その手は私を求めて離さない。「…イヤなら張り倒せ」自嘲するような響き。こんな風に求めるのは彼としても不本意なのかもしれない。でも…「私でないと駄目なのでしょ?」「ああ」それだけでもう、拒めるわけない。







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