『ぴろーとーくはまだ』
床に散らばった二人分の衣服を見ながら俺は盛大な溜息を吐いた。もう一人は毛布にくるまり、俺の隣で幸せそうに夢の中。こんな状況で、何もなかったと言って誰が信じるか。彼女がこの状況を作り出し、お預けを喰らわせたとか…。せめて『何か』あったら全部俺のせいにしてもいいんだがな。
『認めたくはなかった』
背中に押し付けられた石壁の冷たさと頬や耳元を掠める唇の熱さを感じながら、私はまだこの状況を受け入れられずにいた。『男と女』でなければこうはならないだろうということを。「やっぱり嫌か」私から離れようとした兵長の上着の裾を掴めば強く抱きしめられー兵長が触れた所から想いが溢れ出していくー
『心配くらいさせて』
心配くらいさせて、いや、心配しか出来ない。いやいや、心配させたくないのにいつも…そんなに卑屈になるなよ。苦笑ともため息ともつかないものが俺の口から漏れて、ますますお前はうなだれる。気付いてないんだろうな。時々その細い肩に寄りかかるのも、お前に心配されたいからなんだがな。
『I'm Alone With You』
何かするわけでも話すわけでもなく、こうして二人きりで肩を寄せ合い過ごすこの一時が、ひとりの気楽な時間よりも得難く心安らぐとペトラもそう思ってくれているのか。不意にわいた思いと恐れ。人類最強が何を恐れるか。自分を嘲笑いたくなりながらも、リヴァイは何も言わず彼女の肩口に顔を埋めた。
『また会えるために』(ペトラとリコ)
「また討伐補佐数増やしたんだって?」「少しね。それよりも帰ってこられる方が…ね」寂しげに微笑むペトラを見てると辛くなるけど、行くのを止めることなど出来ない。「死に物狂いであの兵士長殿を追い掛けるんだよ」「リ、リコ?!」ペトラがあの背中を追える限り、必ず帰って来ると信じたいから。