よくある幼児退行って良いよね話





「あ、蟹が起きた!紫龍!二人はどうなった!?」
「えぇっと…、だ、大丈夫か?シュラ、アフロディーテ、」

それまで死人の様に横たわって居たデスマスクが唸り声を上げると周りからあちこちから響く声と容赦なく照らす日の光が目と耳に入り込み頭に跳ね返り痛むのか、顔をしかめながら目を開けた。

すると、嘗ての仲間達はデスマスクのベットの周りに立って居るのだが全員が全員、彼に背を向け他所を注視しているのがぼんやりと目に入って来て思わず蘇り一発目のツッコミが口から飛び出す。

「…何コレ。お前等この場合、目を覚ました俺様に注目じゃねーの?」

「黙っていたまえ蟹よ。私達はお前なんかよりもシュラとアフロディーテの方が心配なのだ。」
「あぁ?」

「…いたい…。まぶしくて…、」
「むー…」

女神の恩恵(と書いてハーデスに『壺ごとブチ壊されたくなければとっとと星矢とついでにおっ死んだ奴等全員を元に戻しやがれチンカス野郎』と云う恫喝)に与った聖闘士達は皆、期間はバラバラであったがその内全員現世に戻る事を、不思議な空間で魂ですらない不思議な存在だった時に女神こと、城戸沙織から予め連絡を承けていたそうだ。

女神のお達しなら強制参加という事で、デスマスクも甦ったのだがどうも仲間の反応がイマイチ薄い。
しかも嘗ての悪友達の名が出て来た後に聞こえて来た、彼等らしかぬ声と言い方に違和感を感じたのか、デスマスクもベットから身を乗り出す。

すると何故か黄金聖闘士の中に一人だけ青銅聖闘士で居座っている龍座の紫龍が居て、その脚にしゃがみこんで縋り付くシュラとアフロディーテの姿が見えた。

彼等らしかぬ姿にギョッとするが、紫龍やアルデバランやらミロやらが交互に頭を撫でたり優しく語りかけている事に気付くと驚きを通り越し、デスマスクは吹き出してしまった。

「おっ、お前等何ソレ!! 何何?シュラちゃん、ディーテちゃん、甘やかしプレイでちゅ「お前は黙ってろ蟹!!」

新手のギャグかと涙を浮かべながら爆笑すると、複数の本気の怒声と共にスカーレット二(略)や、その辺の鈍器類がデスマスクに襲いかかって来た。

「ぎゃぴいぃぃぃーーッ!!!!」
「蟹はそのまま黄泉へ帰るが良い!!」

「ぅ…?」
「もう大丈夫なのだ。煩いセクハラ蟹なら成敗したぞシュラ。
未だ眩しいならカーテン閉めて少し暗くするか?」
「かに?」
「何も怖がる事は無いぞ、アフロディーテよ。
あんな蟹ごときお前の敵でも、況してやお前の恋人なぞではないからな。」
「!? イヤ、ちょっと、そんな個人情報いらないから…!」

目をくしくしと擦りむずがるアフロディーテとシュラを、カミュとミロが笑顔で宥めあやすが紫龍は別に聞きたくも無かった黄金聖闘士の恋愛事情に硬直してしまった。

だがそんな紫龍の動きに敏感に反応するシュラがまた不安そうに未だ見えていない目を紫龍に向け縋り付く。

「しりう?」
「あ、イヤすまないシュラ、何でも無いぞ…!」

咄嗟に誤魔化す為にシュラの脇に手を入れ『高い高い』をすると186cmの長身は低い声でキャッキャッと喜んだ。
若干ひきつった笑顔でシュラを振り回していると下でアフロディーテもよじ登ろうと股間にへばりつくのでそれをやんわりと紫龍は阻止し、心で車田泣きをしながらこの状況を早くどうにかしてくれ!! と嘆くのであった。





 黄金聖闘士達の中で初めに甦ったのはシャカであった。
五体満足に記憶も確りとしたまま、嘆きの壁での高揚感を維持したままのハイテンションなままであったが。





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