乳の味の3





 そしてその想いと過去あった出来事をつぶさに紫龍へと伝えるのだがその紫龍から返事が無い。

まさか最早意識を失ったのかと見やると紫龍は顔を真っ赤にして居た。
気が付けばシュラの胸を抑える手も震え、尻の辺りには何やら硬い何かが当たっている。

そして『このポーズはもしかしてあの時、アテナに乳を吸われアイオロスに背後から貫かれていた時と同じモノ…!?』と気が付き途端に焦る。

まさか、そんな!と思いながらも死ぬ時まであんな目に遭うのは勘弁!と思いシュラはとりあえず自分の聖衣を紫龍に与えて地上へ送り返そうと思い付く。
そして聖衣にその旨を命じ聖衣は主の身体から離れ気が付けば失神していた紫龍の身を纏…。

と、したのだが紫龍が思いの外ぴったりとシュラにくっついて居たのでシュラは再び山羊座の聖衣を身に纏ってしまう。

「!? 紫龍、ちょ…!?」

身に纏ってから気が付いたのだが、ただ身に纏うのでは無く山羊座の聖衣は主の命も馬鹿正直に守り紫龍ごと纏っているのであった。
つまり二人羽織状態な訳で。

「はっ、離れ…!! ちょっ、!起きろ紫龍!」

じたばたと藻掻いている内に意識を失った紫龍の技は中途半端な高さで失墜し地上へと戻るのであった…。






一方地上では胸に刺さっていた黄金の矢が消え去り復活した沙織とその下僕達が、教皇宮で教皇と未だ戦っているであろう星矢と一輝に加勢する為、十二宮間の階段を登って居た。

一行が磨羯宮を越える頃、空から黄金聖衣が落ちて来たのであった。

「こ、これは山羊座の黄金聖衣…、するとこいつが山羊座のシュラか…」

だが未だ熱を帯びた聖衣からは紫龍の小宇宙も僅かに感じる。
沙織は中身を見ようと、そしてその傷付いた紫龍の身体を少しでも癒そうと身を屈めるとそこには紫龍の他にシュラも入った状態の聖衣が転がっていた。

しかも山羊座の聖衣は役目を終えたとばかりに二人の身から離れ置物状態になってしまい、更に中の状態を晒す事となる。

シュラは申し訳なさそうに残った僅かな力で両手で顔を隠し静かに涙を流し始める。
紫龍の猛りを挿入されたまま。

その姿はまるで十三年前に見たアイオロスの最後の姿の様で、沙織は口に拡がる懐かしい乳の味を思い出すのであった。



ミ○キーは乳の味・<了>




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