背後霊話の2





「呼んだ覚えは無い!! そっちが勝手に…!!」
「ど、どうしたの紫龍!? 誰か居るの?」

二人しか居ない筈の室内で突然喚き始めた紫龍に春麗は訝る。
紫龍はそれを何とか誤魔化し、宥めようと努力する。

『お?もしかしてアレか?イイ雰囲気になったけどキスから先がどうして良いのか解りませんって奴か?』
『な、何で判るんだ!? 確かにそうなのだが…、』

だったらこの俺様が教えてやろう!! と宣言するデスマスクが初めて黄金聖闘士らしく見えた瞬間であった。

是非とも頼む!と答えると、藻掻くシュラの顎を掴むと紫龍に見せ付ける様に口付け始めた。
『先ずはキスのやり直しだ。』と云わんばかりに。

唇に噛み付く様な口付けは激しさを増し唇はおろか舌にも吸い付き、顔中縦横無尽にデスマスクの舌が這い廻る。
四肢を器用に拘束され必死に逃れようとしていたシュラもその舌技に力を抜き、抵抗が弱まってゆくのが紫龍にも解った。
そしてその姿に勇気を得、未だ困惑気味な春麗に微笑むと同じ事を実践する。

見ただけで果してデスマスクと同じく相手に快楽を与えられているのか、不安を感じる前に紫龍は春麗の柔らかな唇と突然の刺激に戸惑う表情を味わっていた。

「んッ、んぅ〜ン、んーッ
『ふぁッ、やぁあッ!! 見る、な紫…龍…!!』

紫龍はデスマスクの動きを模倣しようと必死にシュラの痴態を眺めている。
現実の唇は生身の春麗と云う大事な女性を攻めているのだが、紫龍はいつしか己はシュラを攻めているかの様に錯覚し始める。

デスマスクの行為は大胆さを増し、手は耐えず乳腺に沿ってシュラの身体を這い廻り特に乳首への執着は素晴らしかった。
シュラの抗議の声は喘ぎ声に変化し、しかしそれでも視られているのが気になるのか時折紫龍の名を呼ぶのがまた紫龍的には堪らない。
そして臀部の双丘に手をかけた時、春麗の確かな喘ぎ声を紫龍は聞いたのだが脳にはシュラの声として届いていた。

『ぃあぁッッ、そ、こは…ッ!だッ、駄目!』
『何言ってんだよ、散々美味そうに指啣えてンのに、よっ!!』
『〜〜〜〜ッッッひッ、拡げる、なぁぁぁッ!! ヤダ、紫龍に見え、』
『あ〜あ、丸見えだぜお前、紫龍も見えるよな?これからココに俺様のおちんちんが挿入るから、よ〜く見とけよ〜?』
『やぁああッ、しりゅうッ、見、ないでぇッッ!! ゆびっ、ゆびがあぁぁぁッ!!!!』

「イヤぁ!何処触っているの紫龍!?」

頬に衝撃が走ると紫龍は漸く正気に戻る。
シュラとデスマスクの姿が消え、呆然としていると今度は身体ごと押し退けられてしまい、そこで更に現在の状況を思い出す。
慌てて目線を下に戻すと顔を真っ赤に染め目には溢れ落ちんばかりに涙を溜める春麗の姿があった。

「お尻ばっかり触るなんて…!紫龍の変態ッ!!」

止めの一発とばかりに鳩尾に膝蹴りをかますと春麗は部屋から出て行ってしまうのであった。

鳩尾の痛みが退き、部屋に一人と云う状況をやっと理解し春麗を追いかけるが当然門前払い。
思わず俯くと頭とは裏腹に勃ち上がる股間が目に入る。
すると直ぐに先程まで見ていたシュラの痴態をありありと思い出してしまい、紫龍は様々な想いを胸にとりあえず一発抜きにトイレに向かうのであった…。


よくある背後霊話って云うかあのシュラって小宇宙で語りかけてんの?って話・<了>



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