よくある背後霊話





「大丈夫か?春麗…、その、怖かったら止めても…、」
「ううん、違うの…。私、嬉しいの。…それに恥ずかしくて…!」

天秤座の老師こと童虎が近所(山2つ越えた辺り)の寄り合いにお呼ばれし、五老峰の修行場には紫龍と春麗しか居ない夜の出来事である。

二人は幼い頃から一緒に過ごし、聖闘士として成長する紫龍を春麗は陰になり日向になりながら支えて来た。
その健気さと生来の優しさに紫龍はいつしか春麗に引かれ、春麗もまた紫龍を想う。
そして二人は互いの想いをふとした切っ掛けで確認する事となり気付けば身体を寄せ、男と女として本能のままに口付けあっていた。
だが、幾ら将来を決めた相手とは云えこのまま事を進めても良いのだろうかと、そして言葉ではそう言うが秘かに震える春麗の姿に紫龍は思いとどまる。
と、云うかこの先どうしていいものなのか、大変困っていた。

『キスは…何とかこなせた!だが春麗はああ言うが…この後どうすればいいのだ!?
いきなり女陰をふ、触れて確かめても良いものなのか…。
老師は…、こんな時老師は何と仰っていたのか、イヤ、こんな話伺った事も無いぞ!!
どうする、こんな事保健体育の書には…!?』

嬉し恥ずかしで目を瞑り、己に身を預けて少し落ち着いた様な春麗を前に紫龍は必死に考える。

因みにこういう場合、星矢ならば聖域で日本人と差別されながらも仲良くなった少数の友人が居たし、男社会と云う事もありそういった知識はエロ本が回覧出来たり聞いたり出来たし、魔鈴に黙認されながらもちゃんと勉強出来ていた。(但し、童貞)
氷河も師が聖域きっての智者だけありそういった知識もそれなりに詰め込めた。(但し、男色に限る)
一輝と瞬に至っては現地で彼女を早々に作り、経験まで熟している。

つまり紫龍だけが知識も経験も無い、真の童貞であった。

修行場は人里離れた山に囲まれ文明には程遠く、頼れる大人は老師しか居ない紫龍に今すぐに性知識を教えてくれる他人は皆無であった。
斯くなる上は小宇宙通信で星矢辺りに教授願うしか無いのか!! と静かに小宇宙を高める。
だがその時、

『どうした紫龍!』
『あ…貴方は山羊座のシュラ…?』
『ちょ、やめろバ蟹!! 勝手に…、『フッ、紫龍よ、こんなところでギブアップとはおまえらしくもあるまい、
ちょっと、良いからシュラ、大人しくしてろってホラ!!』

「シュラだけじゃなかったーッ!!」
「えっ!? なぁに紫龍?」
「い、イヤ、何でも無い…、」

重なり合う春麗と己の前方斜め上辺りに、曾て死闘を繰り広げた際に身に受けた小宇宙を感じ、興奮の汗とは別のイヤな感じの汗を流しながら視線を上げるとそこには山羊座の黄金聖闘士・シュラが居た。

過去に幾多の戦場で時には励まし、時には聖剣ちょっとイイ話をしてくれたりと、ちょくちょく顔を出してくれたシュラであったが、今回は裸で・しかもデスマスクに抱かれながらの登場であった。

『お、お前は蟹座のデスマスク!?
一体ナニを…!?』
『ナニって、お前と同じ事だよ。つかガキの癖にお前こそナニやってんだよ。』
『いっ、いい加減放せ!紫龍も何故呼び出すのだ!?』




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