メイド話の2





「何を云う!! これはイチャイチャしているのでは無い!!
メイドと御曹司との禁断の愛なプレイで…!!」
「どっちにしろ働け!! 貴様等はお嬢様のお情けでここに居る事を忘れるな!
ちゃーんと働いとるのは山羊だけでは無いかーッ!?」

最近、舘内が非日常的な感じであったが辰巳がこうして普通の感覚で接して居るのを見て紫龍は少し落ち着くと同時に山羊の名でもう一人、普通に喋れる大人の存在を思い出し、自分の抱える疑問に答えて貰おうと思い賑やかな部屋を出るのであった。

途中、使用人用の休憩部屋で昼ドラを観ながら茶を啜るムウっぽいメイドとシャカっぽいメイドを見かけたり、玄関先で煙草を吸ってるデスマスクっぽい執事を見掛けるが、目当ての山羊と呼ばれていたシュラっぽいフットマンは庭で剪定に勤しんで居る様だ。

腕を振るだけで木々の枝はスパスパとカットされる様子は一般人にしてみると不思議な光景だろうが小宇宙を高めれば同じ事が出来る紫龍にはお馴染みな光景である。

「シュラ、ちょっと良いか?聞きたい事があるのだが…、」
「どうした紫龍?イヤ、俺はシュラと云う名では無いが…。」

もう、そういう設定でも良いので紫龍はとりあえず一番疑問に思っている事を尋ねる。

「その…、何で貴方方は皆全員、女性聖闘士の仮面を着用しているのだ?
館中ちょっとした仮面舞踏会みたいで恐ろしいのだが…、」

先日も宅配業者が対応に出た仮面のメイドに静かに腰を抜かす姿を見たばかりの紫龍は、このままでは城戸邸に変な噂が立つのでは!? と心配をしているのであった。
勿論、先の闘いで死んだ筈な黄金聖闘士達が何故甦って、しかも城戸邸で働いているのかも知りたいし、守護者達が殆ど居ない聖域に里帰り中の星矢と沙織の事も心配なのだが。

「うむ、だがこの仮面の掟については紫龍も知っているだろう?」
「ま、まさか素顔を見た者を殺すか愛するかと云うアレか…!?」

シュラの素顔など十二宮の闘いで見まくった筈なのに何故今更!?
そして愛されても!! と、紫龍が思わず車田顔で戦いているとシュラ(暫定)は頷く。
冗談かとも思うがこの男がそんな冗談を云うとも思えず、それは沙織の命令かと問えばそうだと再び頷く。

自分の想像以上に謎が謎を呼ぶ現状に紫龍がブッ倒れそうになっていると背後の館の一室の窓ガラスが割れ、金髪のメイドが辰巳を巻き添えに外に飛び出して来た。

「くそ〜〜ッ!! 何故俺まで投げられねばならんのだ…!」
「フン、アンドロメダも未だ未だ子供だな。
口で負けて悔しいからって辰巳を投げつけるなど…」

何事かと振り返り駆け寄ろうとするが紫龍の目はシュラ(暫定)に寄って遮られてしまう。

「な、何だシュラ!? 一体…「見るな紫龍!アフロディーテの仮面が割れている…!!」
「な!?」

そんなに壊れ易いのかと思わず叫びそうになるがそんな心中を察してかシュラ(暫定)が説明をしてくれた。

「この仮面の素材はガスコンロに敷くアルミホイルと同じ物で破れ易いのだ…。」
「やっすい素材だな!!」
「我等が生前、グダグダな身内争いを続けたのは互いに愛する行為を怠った結果である、とアテ…お嬢様はそう仰ってだな。」

その対応策がこの破れ易い掟付の仮面なのだと、愛の尊さを説きながら沙織は彼等に留守を任せたのだと云う。(星矢にセクハラしながら)




[ 26/38 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -