昏睡姦の3





看護師が花瓶に花を活けて病室に戻るとベッドに乗り上げ、患者の顔面に脇を押し付けている男の姿があった。

思わず取り落とした花瓶の割れる音にも、何をしているのか尋ねる声にも応えず微動だにしない二人に看護師は、そっとしておこう…、と部屋を出て行くのであった…。






 アイオロスは空腹を覚え窓に目をやると既に日が暮れかけ、診療所内には人の気配は無くなっていた。

脇を下ろし、シュラの様子を伺うがやはり未だ目を覚ましてはいない。
溜め息を付き、どうすればシュラの目を覚ます事が出来るのであろうか、と何度も考えた事を思っていると無人であった筈の診療所に複数の声が響いて来た。

小宇宙を高めて何を話しているのか聞き取ってみるとどうやら見張りの雑兵達の雑談の様だった。

暫く聞いているとどうやら彼等は自主的にここの夜警を買って出ている様子で、そこにもサガの乱と呼ばれる13年間の闇が垣間見えた。

『シュラにもこんなに慕う部下達が居るんだな…。
あの引っ込み思案な小さかった子が…。

しかし随分熱狂的な感じだな、まさかこいつらもシュラを狙って…!?
イヤ、シュラとてそう易々とやられる訳が無い、が、もしもの話だ、
教皇命令とか…何か弱みを握られて、とか…!?
純粋に盗撮や覗きでそういう対象にされたとかって事もあり得るな!!
シュラって無防備って云うかそういう事に疎かったし…、(※シュラ10歳当時)

今だってそうだ!あわよくば眠り続けていて意識も無く、抵抗もしないシュラに邪な感情を抱いているのかもしれん!
…まさか人目の付かない夜の闇に紛れ数人で、り、輪姦し…、入れ換わり立ち換わりシュラを毎晩貪っているのに何食わぬ顔で暮らしているのかもしれない…!!

あぁッ!! 昏睡姦だなんてそんなッ!どうすればシュラを守ってやる事が出来るんだ私は…!?

…!! やはり、昏睡レイプを未然に防ぐには、そして再発防止には…、シュラ、お前に私が繋がっているしかない!!!!』

有り難いお経の様に長々と、しかし思い詰めまくった思考は過激な物となりアイオロスは決意と股間の怒張を固めるとシュラのベッドに潜り込むのであった。






 翌朝、普段ならムウが現れる前に解散している筈の夜警の雑兵達が今朝に限って診療所前にたむろしていた。
どうしたのかと尋ねると、困惑した様子で悔し泣きをしている者達まで居て、口々にアイオロスをどうにかしてくれと懇願して来るのでムウまでもが困惑する。

とりあえず様子を、と病室を覗くと、アイオロスが真顔でシュラに絡み付き下半身はガッツリと合体したままで、シュラのイチモツにはアイオロスの手が縛り付けられていると云う状況になって居た。

「…アイオロス…、一体何を…?」
「シュラを犯るなら私を犯れ!! シュラは私が、守る!!」

…説明を聞くのもするのも面倒臭かったし何か無駄っぽい様だ。

シュラにとって、このまま目を覚まさない方が良いのか、それとも今すぐ覚醒した方が良いものなのか、そう思いながらムウに出来る事はとりあえず病室の扉を閉め、診療所を立ち入り禁止にする事だけであった。



昏睡姦ってイイよね!!話・<了>




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