若い果実を摘まみ食い話





 偽教皇のアレな騒ぎや真の女神のお披露目会やら破壊された聖域の復興やらと、目まぐるしく過ぎる忙しい毎日(復興に関してはそんな事を言う者など居ないが)にも少し慣れたある日の事。

暫く夜間作業が続いていたがシフトが代わるって事で夜勤明けの主が爆睡している筈の早朝の磨羯宮に破壊音が轟いた。

「起きろ金メッキ!! 約束通り一ヶ月大人しくしていたぞ!」

寝室の扉を破壊し飛び込んで来たのは鳳凰座の青銅聖闘士・一輝。

彼は後に『サガの乱』と記される騒ぎの最中、専用の登場BGMと共に格好良く現れたと云うのに、ものの数秒で山羊座の黄金聖闘士にフルボッコにされた。
地獄の様な修行地で、これまた鬼みたいな師に鍛えあげられ、実際青銅では最強と云われる実力を持つ男が。

そんな自尊心の塊みたいな一輝はその事が燻り続いていて、誰もが忙しく働き回る中、その件から目の敵にしていた山羊座の黄金聖闘士のシュラに付き纏い続け、事ある毎に再戦を申し立て続け、この日、再戦の約束をしたのだ。

申し立てる、と云うとお行儀良く、品も良さそうだが実際は一輝が一方的にごねにごねて、さもするとその場で掴みかからん勢いで再戦を言い募っていたので、周りが・特に一輝の良く出来た弟が兄の代わりに私闘や聖闘士の掟に抵触しない様に、沙織にまで頼って元老院に枕営業までして申し立てた、あくまでも『再戦』などでは無く、『黄金聖闘士による青銅聖闘士への特例的な修行』であったが。

それなのにその努力と気遣いの全てを無視して一輝は突撃して来たのだ。
只一つ、『一ヶ月後』と言う事だけを守って、聖衣まで着込んで。

「オラ起きろ!人が折角約束を守って来たんだぞ!
テメェも聖闘士なら決闘の時位シャンとしやがれクソメッキが!!」
「…………ぇ、」
「あぁ?聞こえねぇよクソが!」
「るせぇっつてンだろがクソはテメェだこの、クソガキ!!
俺ァ、二時間前に寝たばっかだぞおまけに勝手に時間迄決めてんじゃねーよアホか!」

あと、扉の修理しとけよバーカ!! と、文字どおり叩き起こされた怒りのテンションで跳ね起きるとシュラは一通り喚いてまた布団を被ってまた横になる。
だが飛び込んで来た一輝には本来の序列ならば死にも等しい黄金聖闘士の恫喝だと云うのに少しも堪えていない様で、それどころか命知らずにも布団の上からボコボコと殴り付け、ベッドを蹴り上げながら尚も起きて己と闘う様言い続ける。

勿論手加減等無しの、しかし何処か子供じみた起こし方にシュラもこれにはいい加減キレた。

無言で一輝の腕を布団越しに掴むとそのまま引き倒し、自らは目にも止まらぬスピードで身を翻すとベッドから一輝の背中に乗り換える。

「なぁッ…、ぐッ?がぁああッ…!!??」
「痛ぇんだよボコボコボコボコ…、と!」

シュラが片手を上げると掴まれていた一輝の両腕は肩から簡単に抜けてしまい激痛に一瞬、抵抗が弱まる。
敵は寝ていたとは云え気を抜いたつもりは無かったと云うのにまたもや簡単に捩じ伏せられてしまい、一輝の表情に痛みだけでは無い感情が混じる。

「…人様の貴重な睡眠時間を奪いやがって…。
それにこの、疲れマラの朝勃ちなチンコ、どーしてくれンだよ…。」
「痛ッ、てぇな畜生!!
どけよ!人の背中からその汚ェモノをどけろ!!」

一輝は何とか抜け出そうと藻掻くがシュラは一輝の表情に気付く事無く己の朝勃ンコを眺めながら、『今日はオカズのミロりんも居ないっつーのに…』と聞いちゃいなかった。

それどころかふと、何事か閃いたのか悪い笑顔になると一輝の聖衣を剥きにかかる。





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